【名刺コラム】名刺を偽造したら罪になるのか?
判例を使って解説したいと思います。
判例:ケース1
また、そのような肩書を利用して頻繁に高級料理店で会食をしたり、接待旅行に行ったりしている。
顧客からの問い合わせにより詐称が発覚したが、山田太郎はどのような罪に問われるのか。
解説
名刺を偽造しているので、文書偽造罪にあたるのではないかと思えますが、名刺や表札のように人物または事物の同一性を表示するに過ぎないものは、文書にはあたらないとされています。
しかし、山田太郎が支店長という肩書を利用して、自分の利益を図ったり、相手方を誤信させ、契約締結などを行い、相手方に財物を交付させた場合は、詐欺罪(刑法246条)などに該当する可能性は出てきます。
仮に上記のような名刺における経歴詐称と利益を図る行為が結びついていることが判明したら、捜査機関に対して刑事告訴および告発を行うことが可能です(刑事訴訟法230条、239条)。
判例:ケース2
弁護士であることを信用し、交際した女性がいて、後に嘘であることが発覚した場合、山田太郎は罪に問われるのか。
解説
しかし、無職である山田太郎が、資格がないのに弁護士と名乗ることは、弁護士法第74条にあたり違法となります。
その他にも
・官公職:公務員の官名・職名のこと
・学位:学士・修士・博士など学位規則に定められた称号
・その他法令により定められた称号:弁理士・医師や学校教育法に定められた称号など上記に該当しないのに名乗った場合は処罰の対象(称号詐称罪)となります。
私印偽造罪
私印偽造罪とは、行使の目的で、他人の印章・署名を偽造する犯罪のことです。
印章とは、人の同一性を表示するために使用される象形(文字・符号)を意味します。
まとめ
しかし、偽造した名刺を使用して自分の利益を図った場合は、大きな罪に繋がるようです。
実際、名刺を偽造して記者と名乗り、マスコミ試写会に入り込んだり、男が女性と交際したさに警察官でないのに警察官の肩書の名刺を作成したりなどの事件が発生しています。
名刺は、ビジネスにおいては必需品であり、最近ではプライベート用としても広く使用されています。
自分の情報を正確に伝え、人脈を作るきっかけとなる名刺を正しく使用しましょう。